宮崎中央森林組合で働く井上武雄さん62歳。 東京都出身。
都内A学院大学教育学部卒業後、大手企業でのサラリーマン生活をスタート。
順調なサラリーマン生活も50歳を過ぎた頃、出張で行った東南アジアで無秩序な森林伐採を目の当たりに。
その時の経験と、学生時代にお兄様が勤めていたインドネシアのダム建設現場へ行った際の風景とがオーバーラップするなど、少しずつ山の環境保全に関わりたいという想いが募る。その数年後、早期退職制度を活用し55歳で林業の世界へ。
退職後は、全森連の「森の研修制度」を活用し、1年間で林業の基本となる知識と資格を習得。
その後、奥様の出身地でもある宮崎で林業人生をスタート。勤務先は林業が盛んな県北にある森林組合。
ここで、今となってはとても意義ある多くの経験を積むこととなる。
そしてその時の多くの経験が、今の井上さんの人生設計に大いに影響することに。
現在は宮崎中央森林組合に所属する傍ら、美郷町で関わった方々との縁がきっかけで所有することとなった自社所有林を管理する会社も経営。
宮崎中央森林組合では、環境保全業務を担当。
取材日は宮崎市が所有する「好隣梅」の敷地内維持管理業務の日。
ここでは、来訪者から「山が綺麗になりましたね」と労いの声をもらうそうで、 そんな時は、本当に嬉しい気持ちなるという。
自らが経営する会社においては、業界では画期的な月給制を採用。スタッフの意識が向上しているとのこと。
また、花粉の少ない杉の開発、生育・材質の良い苗だけを掛け合わせたクローン苗の研究開発などに取り組むなど、新たな環境保全への夢を追う。
加えて、宮崎市周辺においても”架線集材”事業の展開を計画中。
最後に、「宮崎中央森林組合の森組合長はじめ、上司同僚の明るく楽しい雰囲気の中、やりがいのある仕事をやらせてもらっています」と、現在の職場環境への感謝を語って頂きました。
「伐採したら植林する」を信念に、環境保全を最優先にした林業を実践する井上さん。志高く山の環境保全に取り組み、日々充実した第二の人生を送っておられる、そんな自らの人生を謳歌している姿がとても魅力的でした。